カテゴリーアーカイブ: 38歳から始めるシネフィルへの道。

film0189: LIFEBOAT (1944)

April 06 2020 13:25

LIFEBOAT
邦題「救命艇」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.42
国内映画レビューサイト偏差値:3.23
海外映画レビューサイト偏差値:3.79
だい評点:★★
USA
1944年1月12日公開
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:タルーラ・バンクヘッド、ジョン・ホディアック etc
製作・配給:20thセンチュリーFOX
◎NYFCC主演女優賞
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
イギリスに向かう客船が炎上、沈没した。辛うじてただ一人救命ボートで脱出した旅行ライターのコニーは、救命艇に向かって泳いでくる人影を見つける。救命艇に辿り着いた男は機関士のコバックで、船はナチスの攻撃を受けたという。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
ヒッチコック作品には珍しく、
主演女優が若くて可愛いコじゃなく、おばさん!!
しかもめっちゃ性格悪い役!
新機軸だな。
 
そのへんもWWⅡ真っ只中の世情の影響あるのかね。
実際逞しさが要求される話だし、
戦時中はそういう部分も求められるだろうし。
うん、戦争は映画作りにも影を落とすのね。
 
でもさ、
戦時中だからプロパガンダ的な要素は仕方ないにしても、
結局、ナチスは騙し討ちしてくるからブッコロ。
みたいな感情で大団円。
ってのがなんだかなー。
 
もうちょっとウィリー個人の内面を掘り下げて、
ウィリーはナチ崇拝者だから…
っていう感じにしてくれれば個人の問題になるんだけど、
まぁプロパガンダ的にはステレオタイプにしなきゃなのは、わかる。
 
でも、『海の沈黙』を観た後だからそのへんにやり切れなさが、ある。
 
 
ヒッチの作品自体は娯楽作として大好きなんだけど、
だからこそ、重めなシチュエーションには向かないのかな、って。
人物全体が軽いんだよな。
行動原理が希薄というか。
 
こんな過酷なサバイバルの中で、
それぞれの「どうしても生きたい理由」が見えてこないと、
やっぱり感情移入は難しい。
 
だから、
ガスの手術や死も、
大嵐も、
ドイツ補給艦に収容されそうなのも、
もちろんハラハラしたりはあるけど、
けどね…って感じ。
 
どうしても生きたい、っていう執念らしいものがないのに、
急に恋心だけは芽生え始めて、
うーん。
 
 
最後も、
まぁ軍事的な考えとして補給艦を叩くのは正義なんだけど、
日本人の立場としては、
別に連合軍、ナチスどっちにも思い入れがあるわけじゃないので、
戦艦同士の交戦じゃなく一方的な砲撃が行われてるのも何だかなぁ、とか。
 
作品としてダメなわけじゃないんだけど、
国内のレビューサイトの点数と、海外のサイトの点数に相当な乖離があるのを見てわかる通り、
やっぱり日本人には心から共感できない作りなんだろな。
 
日本人でも、
戦争や、戦後の残滓を経験した世代だったらまたいろいろあるのかもだけど。
 
俺らには永遠に持てない感覚だから、難しいね。



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film0188: DEUX HOMMES DANS MANHATTAN (1959)

April 03 2020 11:18

DEUX HOMMES DANS MANHATTAN
邦題「マンハッタンの二人の男」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.59
国内映画レビューサイト偏差値:3.78
海外映画レビューサイト偏差値:3.21
だい評点:★★★
フランス
1959年10月16日公開
監督:ジャン=ピエール・メルヴィル
出演:ジャン=ピエール・メルヴィル、ピエール・グラッセ etc
製作:ベルフォート・フィルム、アルテフィルム
配給:コロンビア
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
12月23日、ニューヨークの国連総会では目立った議題もなく、国連への新加盟国の承認決議だけが行われていた。しかし、フランスただ1ヶ国だけが予告なく欠席し、各国の記者たちはこぞってそのニュースを打電したが、誰一人としてフランスの国連代表ブルティエの行方を知る者はなく…。 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
おシャレすぎの嵐!!!
 
光と影の協調された映像。
前編に流れるジャズブルースの音色。
 
かっこよすぎるぅぅぅぅぅぅ!!!!!(涙)
 
リバーヒルソフトの往年の推理アドベンチャーゲーム、J・B・ハロルドのシリーズは絶対これから影響受けてるよな。
特に『マンハッタン・レクイエム』。
 
 
正直、ストーリーは単純。
だって、失踪した外交官を探したら、愛人の部屋で死んでました。
だけだもんなぁ。
陰謀もどんでん返しも何もない。
 
でもな。
 
おシャレさだけで幸せになれる!!!!!!
 
おシャレ映画は正義だった。
 
もうオープニングからシャレオツ感しかなくて、
今まで観た映画の中で2大好きオープニング映像だわ。
もう1作は『タイピスト!』。
両方フランス映画だなー。
 
 
この前観た『海の沈黙』が良すぎたから、メルヴィル監督観ようと思った一環だけど、
いい意味で全然作風が違うというか。
 
好きな監督1位に躍り出たまである。
まだまだ観たいなー。



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film0187: LE CORBEAU (1943)

April 03 2020 09:49

LE CORBEAU
邦題「密告」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.75
国内映画レビューサイト偏差値:3.67
海外映画レビューサイト偏差値:3.90
だい評点:★★★
フランス
1943年9月28日公開
監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
出演:ピエール・フレネー、ジネット・ルクレール etc
製作:コンチネンタルフィルム
配給:トビスフィルム
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
フランスのとある町、民家の庭で心配そうに佇む3人の老婆がいた。民家から出てきたのは産婦人科のレミ・ジェルマン医師。手を洗う彼に老婆が尋ねると、母親は助かったが子供はダメだったと言う。その頃、彼の勤めるサン・ロバンの市民病院では、13番ベッドの患者がベッドを替えてほしいと訴えており…。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
「フランスのヒッチコック」クルーゾー作品2本目の鑑賞!
ホントにそう言われてるかは知らない!
大学の頃、TSUTAYAにあった「恐怖の報酬」のレンタルビデオのパッケージにそう書いてた!
だからたぶん本当!
 
でもね。
本作を観る限りでは、テイストはわりと対極!
 
事件の中で生まれる恋。
みたいなのはヒッチでもお決まりのパターンだけど、
ヒッチ作品のやつはだいたい陽気で爽やか!
 
一方で本作。
 
情  !  念  !
 
 
恐怖さえ感じるデニーズの愛。
サイコすぎるヴォルゼ院長の愛。
 
このドロドロ感こそフランス映画の華!!!!!!
 
 
でもなレミ、
女抱いといてその後の態度は何やねん…
中途半端な気持ちで抱くなや!!!!
 
出さない手紙という謎のウジウジといい、
レミにどこまでも漂うカス男感。
カラスの怪文書にいまいち怒りを覚えきれないのはたぶんそのせいだな。
 
 
犯人が最終盤まで特定できない、
というサスペンス的面白さは満足なんだけど、
ただでさえキャラが希薄だったうえに、結果救われなかったローラが哀しい。
もうちょっとキャラ立ちさせてあげたかったよ。。。
 
そして圧巻のエンド。
13番患者の母親によって、遂に成し遂げられた復讐!
我が子を殺した相手への復讐を終えた老婆が静かにヴォルゼ邸を出て行く。
 
「息子のカミソリは1回しか使ってない。もっと使ってあげなきゃ」
って言って手に持っていたカミソリが、ヴォルゼの死体のもとに…。
 
こえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!
 
 
子を殺されると、母は悪魔にも鬼神にもなるのですね。
 
 
一方で、子殺しの汚名を着せられながらも、
最後には自分の子を産むようドニーズに言ったレミ。
この映画のテーマはそこにある。



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film0186: LES MISÉRABLES (2019)

April 02 2020 23:39

LES MISÉRABLES
邦題「レ・ミゼラブル」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.82
国内映画レビューサイト偏差値:3.84
海外映画レビューサイト偏差値:3.79
だい評点:★★★★
フランス
2019年5月15日公開(カンヌ映画祭)
監督:ラジ・リ
出演:ダミアン・ボナール、アレクシス・マネンティ etc
製作:スラブフィルム
配給:ル・パクテ
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
パリ郊外のモンフェルメイユの警察署に転勤してきたステファン。迎えに来たクリスとグワダという二人の同僚からは、この地域は数年前に自警団によってコカインの売人たちが一掃されたが、なお複雑な状況が残っていると聞かされる。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
すごい映画を観た!!!!!!
フランスのスラムの圧倒的なリアル!
 
気軽に軽犯罪に手を染めるアフリカ系住民の子供たち。
舐められたら抑止できなくなるから、荒っぽくならざるを得ない警察。
両方のバランスを取らなければいけないスラム住民の顔役。
さらにはサーカスでやってくるルーマニア系住民。
 
移民国家の複雑な事情だよなぁ。
 
どうしても貧富の差ができやすいうえに、
同一出自でコミュニティを作るから、火薬庫になりやすい。
日本では実感を持てない環境。
 
暴動で、警察だけではなく、
“市長”や反コカイン団といった「自分たちの顔役」までも襲撃する子供たち。
そこにあるのは、ストレスの発散?ルサンチマン?
 
 
そしてこの映画の最も秀逸なのがラストシーン。
「悪い草も悪い人間もいない。育てる人間が悪いだけだ」
 
ただ一人だけ自分をかばってくれたステファン。
ただ一人だけ自分の身体を気遣ってくれたステファン。
ただ一人だけロマの暴走を止めてくれたステファン。
 
ステファンのやり方でイッサは変わる?
それを観る側に考えさせるアプローチ、
それぞれに解釈が生まれるから、すき。
 
育てる人間によって、
いい草にもいい人間にもできるかもしれないけど、
でもね、
そのための育て方に正解はないんですよ。
 
優しくするのが正解な場合もある。
厳しくするのが正解な場合もある。
ステファンのやり方が何かを生むのか、
クリスのやり方が何かを防ぐのか、
法的な云々は別としてね、
その善し悪しを論じるのはね、それぞれの価値観でしかないんですよね。
 
 
でもそんな社会でもね、
あのスラムのように、同民族同士ですら信じ合えていない社会でもね、
冒頭の場面のように、サッカーで1つになってる瞬間が事実としてあるんですよね。
エンバペ?デンベレ?グリーズマン?ジルー?
民族なんて、出自なんて関係ないってみんな体感してんじゃん!
 
どうやったら、普段からそれが当たり前になるんだろね。
育てる人間がね、
変わらなきゃなんですよ。
変わりたいね。



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film0185: YOUNG AND INNOCENT (1937)

April 01 2020 09:42

YOUNG AND INNOCENT
邦題「第3逃亡者」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.19
国内映画レビューサイト偏差値:3.12
海外映画レビューサイト偏差値:3.33
だい評点:★★★
UK
1937年11月公開
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ノヴァ・ピルビーム、デリック・デ・マーニー etc
製作:ゴーモン・ブリティッシュ
配給:GFD
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
女優クリスティンの死体とその凶器のベルトが浜辺に打ち上げられているのをシナリオライターのロバートが偶然発見した。警察を呼びに行くロバートの後ろ姿を見た通りがかりの女性たちは、ロバートが現場から逃走するのを見たと証言し…。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
善意の第3者が犯罪に巻き込まれて犯人扱い→逃走。
つまり。
 
いつものヒッチコック!!!!
 
 
本筋に関係ないトラブルまで起こって命からがら脱出。
つまり。
 
いつものヒッチコック!!!!
 
 
もはや様式美だよなぁ。
正直、炭鉱の地崩れのシーンとか無くてもいいシーンだけど、
とりあえず何かを起こして定期的にハラハラさせる。
 
状況はどんどん悪くなっていって絶体絶命だけど、
最後の最後に大逆転でハッピーエンド。
 
やってることはだいたい同じなんだけど、
それでも毎回きちんと楽しめる安定感。
 
時代劇並みの安心感あるわ。
 
 
で、本作に関して言うと、
とりあえず軽い!
主人公が軽すぎて共感できない!
 
「無実だから捕まっても何とかなるよ」
ってんなら最初から逃げんなやぁぁぁぁぁ!!!!
 
逃げるのはまだいい(よくないけど)。
潜伏してるのに外にゴミ捨てんなぁぁぁぁ!!!!
屋内にでさえ痕跡残しちゃあかん場面で、
窓からゴミ放り投げるやついる?
バカなの?ねぇバカなの??
 
全く必死さが感じられないから、
そもそものストーリーの必然性が薄くなってる。
それがこの作品のいまいち感の根源だよなぁ。。
 
 
最後の大団円に向けたホールのシーンはヒッチの真骨頂よね。
「早く気付け!早くぅぅぅ!!」
っていう感情で5分以上息を飲んで観るからカタルシスがすごい。
でも演奏おかしくなった時点で普通はドラマーのほう見るけどな。。
 
「急病人は放っとけない!わたしガールスカウトやってたから!」
が単なる二人の出会いだけかと思ったら、
 
最後のシーンに繋がってるのかよ!!!!!!!!!!!
 
この構成だけでご飯おかわりできるわ。
だけども、んな事言うと、
「じゃあやってみて」って言わないでねベイベ。



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film0184: DER LETZTE MANN (1924)

March 31 2020 15:11

DER LETZTE MANN
邦題「最後の人」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.92
国内映画レビューサイト偏差値:3.86
海外映画レビューサイト偏差値:4.02
だい評点:★
ドイツ
1924年12月23日公開
監督:F・W・ムルナウ
出演:エミール・ヤニングス、マリー・デルシャフト etc
製作・配給:ウニヴェルサム・フィルム
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
ベルリンの大通りに立つ高級ホテルの老ドアマンが大雨の中でも来客の送迎や荷物の運搬に走り回っていた。しかし寄る年波には勝てず、大型のスーツケースの運搬でへとへとになってしまい、腰を下ろして休んでいるところを支配人に見つかってしまい…。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
久々の~~、
サイレント!
美・サイレント!
美・サイレント!
 
山口百恵はうちの母の世代。
 
 
サイレント映画はやっぱり苦手だねー。
台詞がどうとかって話じゃなく、
どうしても言葉がない分、演技が大袈裟になりがちだし、
それに合わせて脚本もわかりやすさ重視になりがち。
 
それがいいって人もいるでしょう。
それはとってもわかるでしょう。
頭で理解はするでしょう。
 
俺は!
苦手!!
 
 
ただでさえ大袈裟な老ドアマンが、
ドアマン職にしがみつく様。
 
共感!
できぬ!!
 
 
この映画が評価高いのがよくわからないんだよなぁ。
共感できないどころか、
制服を盗んだり、
新ドアマンを物陰から眺めたり、
お前には!
プライドというものが無いのか!
 
なんかもう、嫌悪感しかない。
 
 
実態の自分じゃなく、制服にこだわって、
しかも遺産もらったらその制服へのこだわりすらなくなって、
はりぼてじゃん?
お前欲しいの、はりぼてじゃん?
ってなー。
 
俺がそういう類の欲を全く持ってない人間だから、
少しも理解できないんだよなぁ。
はりぼて誇るのカコワルイー
って思っちゃう。
 
 
イキに生きよぜベイベ。
ベイベ、って言ったけどさ、
老人ほど、イキに生きたら格好良いんだぜ。
 
それを捨てちゃ、
ダメだな。



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film0183: LE SILENCE DE LA MER (1949)

March 31 2020 11:36

LE SILENCE DE LA MER
邦題「海の沈黙」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.94
国内映画レビューサイト偏差値:4.04
海外映画レビューサイト偏差値:3.73
だい評点:★★★★★
フランス
1949年4月22日公開
監督:ジャン=ピエール・メルヴィル
出演:ハワード・ヴァーノン、ニコール・ステファン etc
製作:メルヴィル・プロダクション
配給:ピエール・ブラウンバーガー
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
1941年、ナチス・ドイツに占領されたパリ近郊の小さな村で、1人の初老の男がつい半年前の出来事を回想していた。男と姪が2人で住む家にやって来た2人のナチス兵。文書を手渡して宅内を調べると、翌朝には軍用車がやって来て何か荷物を置いていくのだった。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
うおーー!これはすごい映画!!!!
原作付きらしいけど、
これ!映像と音がないと絶対表現しきれないやつだろ!
 
ただひたすらにフランスへの愛を語るエブレナック。
愛国心ゆえに「ナチス支配下の日常」を受け入れまいと、エブレナックの存在を黙殺する叔父と姪。
愛国心を尊重するからこそ、その態度を責めないエブレナック。
 
少しずつ、少しずつだけど、
心の距離は近付いていく。
でも、
ナチスによるフランス支配が終わらない限り、
近付いても絶対に交わらない心。
 
 
せつない!
 
 
最後のシーン。
絶対に交わらないけど極限まで近付いた心で、
姪が初めて発した言葉は。
 
 
せ  つ  な  い  !
 
 
支配の関係の中にはマリアージュは生まれない。
フランスへの限りない愛。
真摯な人間への賞賛。
支配の関係じゃなければ、そこには生まれたかもしれないな。
 
最後の一言だけが全てなんて、
悲しすぎるじゃないかよ。



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film0182: LAURA (1944)

March 30 2020 11:26

LAURA
邦題「ローラ殺人事件」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.69
国内映画レビューサイト偏差値:3.55
海外映画レビューサイト偏差値:3.96
だい評点:★★★★
USA
1944年10月11日公開
監督:オットー・プレミンジャー
出演:ジーン・ティアニー、ダナ・アンドリュース etc
製作・配給:20thセンチュリーFOX
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
刑事マクファーソンは、豪華な邸宅で陳列された高価な骨董品を眺めていた。著名な女性コピーライターであるローラ・ハントが惨殺された殺人事件について、ローラと生前に親交の深かったエッセイストのライデッカーに聞き込みに来たのだった。私室に通されるとそこにはライデッカーが入浴しながら原稿を執筆しており…。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
ずっと観たかったけどなかなか入手できなかったローラ殺人事件、
ようやく観れたぞ!!!!!!!!
 
古い映画にも関わらず、
サスペンス映画ベスト○○みたいなやつによくちょこっと紹介されてるから、
サスペンス好きとしては観ておかなあかんやろ!
と思って軽い気持ちで観たんだけど。
 
 
観て良かった!!!!!!
 
っていうか。
 
 
観てないひと、観て!!!!!!
 
 
もともとが古典ミステリフリークで、
さらにゲームもAVGばっかりやってたのもあって、
だいたいのサスペンス映画って、
半分観たくらいで、
誰が犯人か、どこがどういう意図で伏線が張られているか、って、
だいたいわかっちゃうんだよね。
 
 
全然わかんねぇぇぇぇぇ!!!!!
 
 
容疑者らしい容疑者が3~4人しかいないのに、
二転三転の嵐!!!!!!
 
そういう意味ではクリスティの「ひらいたトランプ」を彷彿とさせる。
容疑者が少ないのに二転三転するやつって、
プロットに相当な力がないとだから希少だと思うの。
 
 
っていうかさ、
気難しい初老のエッセイスト、
女と金にだらしない若い放蕩者。
 
ローラの男を見る目なさすぎやばい問題!
 
メンヘラとばっか付き合ってきた俺が言える立場じゃないんだけどな。。



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film0181: THIS ISLAND EARTH (1955)

March 26 2020 11:38

THIS ISLAND EARTH
邦題「宇宙水爆戦」
 
映画レビューサイト総合偏差値:2.89
国内映画レビューサイト偏差値:2.96
海外映画レビューサイト偏差値:2.75
だい評点:★
USA
1955年6月1日公開
監督:ジョセフ・M・ニューマン
出演:レックス・リーズン、ジェフ・モロー etc
製作・配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
電子工学の研究者カル・ミーチャム教授は、出席した原子力の平和利用会議の内容について飛行場で新聞記者たちの囲み取材を受けていた。記者たちの質問を上手くあしらいながら自家用の小型飛行機に乗り込んだ教授だったが、飛行中に突如操縦不能となり…。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
宇宙水爆戦っていうから、
地球と他の星の間でものすごい激しい戦闘が繰り広げられるのかと思ってたら。
 
知らん星が知らん星に一方的に攻撃されてるだけ!!!!!
 
途中までは面白かったんや、途中までは…。
何者から何の目的で送られてきたかわからない工学部品。
どう考えても罠でしかない研究所への招待。
明らかに頭の形がおかしいエクセターと助手。
過去に会った経験に知らんふりをする美人研究者。
正気を失っている様子の大部分の研究者たち。
 
ここまで揃ってて面白い話にならんほうがムリやろ!!!!
 
って思ってたら。
 
 
こいつら、無理を可能にしやがった!!!!!!!!!!
 
 
中盤で、
「はい、全部あんたを招き入れるためでした」
「ぼくらは宇宙人です」
「4人を除き研究者は全部脳波いじってます」
いちばんワクワクする部分全部一気に明かすのか!!!!!!!!
 
うん、まぁ、これからメタルーナ星に行って、
宇宙兵器を開発しながら、うまく目を盗んで逃げ出すドキドキ感のやつだな。
と思ってたら。
 
メタルーナ星、
滞  在  数  分
 
「行ったけど攻撃されまくってるから、ぼくたち、地球に帰ります!」
 
何のために行った?
そのシーン必要だった?
それ水爆じゃなくただの隕石では?
ねえ?
ねえ?
メリエスの月世界旅行から進化してない絵面しやがって!
 
 
まさに終盤の畳みかけるような
「これまでのプロット無駄だった感」!!
どうしてこうなった?
 
SF好きには、メタルーナ星で出てくるミュータントがなんかミュータント界の元祖でどーのこーの、っていうのを見ましたが。
別に特段SF好きじゃない俺には正 直 ど う で も い い
むしろお前何のために出てきたんやくらいの印象しかないわ。
 
 
地球に帰ったけど、二人がいない間に地球では…
みたいな最後のどんでん返しも期待したけど、
UFOから脱出した後の二人にすら触れることなくあっさり終了。
 
最後まで何も無しかよ!!!!



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film0180: EAST OF EDEN (1955)

March 26 2020 10:44

EAST OF EDEN
邦題「エデンの東」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.71
国内映画レビューサイト偏差値:3.62
海外映画レビューサイト偏差値:3.90
だい評点:★★★
USA
1955年3月9日公開
監督:エリア・カザン
出演:ジェームズ・ディーン、ジュリー・ハリス etc
製作・配給:ワーナーブラザーズ
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
1917年、カリフォルニア州モントレーの町で、通りを歩く高級な身なりの中年女性を一人の青年が後を付けていた。銀行から帰宅してもなお、青年は女性の家の前で様子を窺ったりしていたが、ついには家に向かって石を投げて用心棒に捕まってしまう。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
初ジェームズ・ディーン!!
伝説の俳優だから、イケメンかと思ってたら、全然違った!!!!
 
とりあえずね、
 
父親Uzeeeeeeee!!!!!!
 
お前が!
レタスの冷凍輸送の商売やったんと!
息子が大豆の先物やったんと!
何が違うんじゃい!!!!!!
 
レタスの冷凍輸送は販路拡大で農民のためになる?
先物だってなぁ!!
当時の相場より高く!確実に全量売れたんだから!!
それはそれで農民助かるやろが!!!!
 
「わたしの商売はきれいな商売。あいつの商売は汚い商売。」
 
お前野党か!民主党か!室井佑月か!
同じや!論理的には!
違うように見えてるのはお前の目が腐ってるだけや!
坊主憎すぎて袈裟どころか半径5メーターの空気まで憎くなってるだけ!
だけなの!!!
 
 
ってかねぇ、
途中まではキャルもガキすぎてウザウザのウザだったけど、
「ぼく、だいずで、おとうさんのそんをとりかえすんだ!」
って決意してからは共感しかなかった。
お前は俺か!
って場面多すぎてちょっとね、身悶える★
 
で、
その源泉って何かって考えたんですよね。
ワタクシだって清く正しく生きることをモットーとしておりますが、
でも、父親の清く正しくは俺には受け入れられない。
それってね、
「神(聖書の教え)に対して誠実である」ことと、
「周囲の人に誠実に接して迷惑をかけない」ことの違いだと思うんですよね。
 
神が先に来る人って、周囲の人を見てないんですよ。
なぜなら、みんながその規範という価値観で動くべきと思ってるから。
個々の価値観や感情や衝動なんて気にする必要がそもそも無い。
神の教えにみんなが従っていればそれが社会の安寧だと考えている。
 
でもね、人が先に来る人ってそうじゃないんですよ。
人それぞれの価値観ってものを大事にすれば、
時に神の教えに沿わないこともある。
その時に、人との調和を優先して考えるから、神が先に来る人とどうしても相容れないんですよね。
 
そもそもね、
父親だってもはや矛盾があるんですよ。
離婚した元妻のことを正直に息子たちに話していない。
「結婚したことを後悔してるんでしょ?」
って見事に看過されて突っ込まれてましたが、
「神の教えに従順でない奴なぞ愛せるか!」
ってこと自体、
もはや汝の隣人を愛してないんですよ。
 
一方では清く!正しく!と声高に叫びながら、
他方では元妻を憎み、弟を憎むアダムとアロン。
もともと清く正しく生きようと思ってないキャルやアブラから見たら、
お前ら何なんじゃいーーー!!!!
ってなりますわな。
 
 
最後良かったのはね、
アダムがキャルへの接し方を悔いたこと以上に、
「人(ナース)を嫌い」
ってきちんと言えたことなんですよね。
 
あの瞬間、
アダムがついに「神の教えが最優先」の呪縛から解放されて。
もともとアダムのキャルへの当たりがきつかったのが、
「神の教えを最優先しないキャルは大馬鹿者」
って部分だったんだから、
そこから解放されて初めてキャルと「人」の部分で向き合うことができるようになった。
 
原作から引き継がれる「timshel」の語句の解釈問題、
「することもできるし、しないこともできる(人間は自分で選択できる)」という部分、宗教系の人からはそうとうねちっこく批判されてるみたいですけども、
別にそれって神との決別でも何でもなくて、
神の教えに自分の行動全てを任せてはいけない。
汝の隣人を最優先にしてそれぞれが判断して進みなさい。
ってことに過ぎないと思うんですよねぇ。
 
カインとアベルの説話の元凶はね、
アダムの依怙贔屓にあるわけでしょ。
その結果としてカインを追放したアダムと、
その結果として自分の行動を悔いてキャルに寄り添ったアダム。
 
どっちが誠実か。
そういう話。



Categories: 38歳から始めるシネフィルへの道。