film0186: LES MISÉRABLES (2019)

April 02 2020 23:39

LES MISÉRABLES
邦題「レ・ミゼラブル」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.82
国内映画レビューサイト偏差値:3.84
海外映画レビューサイト偏差値:3.79
だい評点:★★★★
フランス
2019年5月15日公開(カンヌ映画祭)
監督:ラジ・リ
出演:ダミアン・ボナール、アレクシス・マネンティ etc
製作:スラブフィルム
配給:ル・パクテ
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
パリ郊外のモンフェルメイユの警察署に転勤してきたステファン。迎えに来たクリスとグワダという二人の同僚からは、この地域は数年前に自警団によってコカインの売人たちが一掃されたが、なお複雑な状況が残っていると聞かされる。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
すごい映画を観た!!!!!!
フランスのスラムの圧倒的なリアル!
 
気軽に軽犯罪に手を染めるアフリカ系住民の子供たち。
舐められたら抑止できなくなるから、荒っぽくならざるを得ない警察。
両方のバランスを取らなければいけないスラム住民の顔役。
さらにはサーカスでやってくるルーマニア系住民。
 
移民国家の複雑な事情だよなぁ。
 
どうしても貧富の差ができやすいうえに、
同一出自でコミュニティを作るから、火薬庫になりやすい。
日本では実感を持てない環境。
 
暴動で、警察だけではなく、
“市長”や反コカイン団といった「自分たちの顔役」までも襲撃する子供たち。
そこにあるのは、ストレスの発散?ルサンチマン?
 
 
そしてこの映画の最も秀逸なのがラストシーン。
「悪い草も悪い人間もいない。育てる人間が悪いだけだ」
 
ただ一人だけ自分をかばってくれたステファン。
ただ一人だけ自分の身体を気遣ってくれたステファン。
ただ一人だけロマの暴走を止めてくれたステファン。
 
ステファンのやり方でイッサは変わる?
それを観る側に考えさせるアプローチ、
それぞれに解釈が生まれるから、すき。
 
育てる人間によって、
いい草にもいい人間にもできるかもしれないけど、
でもね、
そのための育て方に正解はないんですよ。
 
優しくするのが正解な場合もある。
厳しくするのが正解な場合もある。
ステファンのやり方が何かを生むのか、
クリスのやり方が何かを防ぐのか、
法的な云々は別としてね、
その善し悪しを論じるのはね、それぞれの価値観でしかないんですよね。
 
 
でもそんな社会でもね、
あのスラムのように、同民族同士ですら信じ合えていない社会でもね、
冒頭の場面のように、サッカーで1つになってる瞬間が事実としてあるんですよね。
エンバペ?デンベレ?グリーズマン?ジルー?
民族なんて、出自なんて関係ないってみんな体感してんじゃん!
 
どうやったら、普段からそれが当たり前になるんだろね。
育てる人間がね、
変わらなきゃなんですよ。
変わりたいね。


Categories: 38歳から始めるシネフィルへの道。

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