カテゴリーアーカイブ: 38歳から始めるシネフィルへの道。

film0097: インシテミル 7日間のデス・ゲーム (2010)

June 25 2019 10:10

インシテミル 7日間のデス・ゲーム
 
映画レビューサイト総合偏差値:2.32
国内映画レビューサイト偏差値:2.16
海外映画レビューサイト偏差値:2.64
だい評点:★★★日本

2010年9月2日公開
監督:中田秀夫
出演:藤原竜也、綾瀬はるか etc
製作:ツインズジャパン
配給:ワーナー・ブラザーズ
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
コンビニで求人誌を立ち読みする結城に、ある実験の被験者を募集する時給11万2千円の求人メールに応募しようか悩んでいるという美女が話しかけてくる。結城は怪しすぎると思い止まらせようとするも、高額報酬に惹かれて結局は自身が応募してしまう。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
なんとなくデスゲームが見たい気分になって、
「デスゲーム」で検索かけたら最初に出てきたのがこれだった。
そりゃそうだな。
 
その程度なので、前知識なしで視聴開始。
 
 
ダンガンロンパじゃん!
と、昨年、ゲーム好きの当時のパートナーからダンガンロンパをやらされた(1は面白かった)ワタクシは思うのでありましたが、
インシテミルの原作のほうが先なのな。
これよりもさらにオリジンがあるのかは知らない。
ちなみにダンロンよりも嘘つきゲームのほうが好き。
 
 
っていうか、
綾瀬はるか、くっそあやしぃぃぃぃ~!!!!
 
見知らぬ男にいきなりわけのわからない情報落とすとか、
サスペンス的観点で絶対黒幕なやつじゃん。
から始まり、
その後ずっと圧倒的怪しい位置に立ち続ける綾瀬。
もうちょっとマスキングできなかったものかね。
 
 
やっすーいデスゲかと思ってたら、
いろんなミステリをモチーフにしてるから、
むしろミステリ好きに楽しめるやつだったのは素直に評価する。
最初に出てくるインディアン人形で、
あっ、そして誰もいなくなっただな!
ってミステリ好きはすぐ気付くから、
死んだ人が実は死んでないパトゥーンあるな。
ってのはわりと想定内。
 
死体の現認されてないのって北大路だけだったから、
実際は死んでないとしたらそこだけなんだけど、
綾瀬が撃ったように上手く意識を持っていかせる作りは上手いなと。
ってか、そっちに意識を全振りさせる武田真治のサイコ感やばいな。あれはたぶん素。
 
 
細かいとこ言えばいろいろあるけど、
原作のほうではきちんと理由とか整理されてるかもだから、
ちっちゃいことは気にすんな、それワ(略)
カップルはなんであんなとこで?部屋あるやん?とか、
斧で自爆するのわけわからんとか。
 
ってかあの女も、
めっちゃチャラギャル系なのに、出たら結婚するはずだったのに!
って頭おかしくなるのがなんとなくミスマッチかなぁ。
あのタイプの人のキレポイントってそこじゃないんだよなぁ。
とか。
 
でもさ。
あの斧やばば。
バーツじゃん!!
他の人と比べて間合い的にも重さ的にも圧倒的不利感ある。
そもそも持ち運べないしな…。
 
ってか斧が凶器の作品って何あったっけ?
ホームズあたりだとありそうな気がするけど。。
Yの悲劇の凶器のマンドリンとかあったら、
それ割り当てられた人絶望しかないな、とか、
いろんなミステリの凶器思い出していろいろ妄想できる愉しみが残されているから、その意味でミステリ好きにはマジで良作。
 
 
これでキャラにもっと悲壮感とか焦燥感があればいい作品になったのになあ。



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film0093: THE BLACK SWAN (1942)

June 11 2019 17:00

THE BLACK SWAN
邦題「海の征服者」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.40
国内映画レビューサイト偏差値:3.47
海外映画レビューサイト偏差値:3.27
だい評点:★★
USA
1942年12月4日公開
監督:ヘンリー・キング
出演:タイロン・パワー、モーリーン・オハラ etc
製作・配給:20thセンチュリーFOX
◎アカデミー撮影賞
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
海賊ジェイミーは、カリブ海を荒らし回る海賊王ヘンリー・モーガンの腹心であったが、捕まり拷問を受けていた。そこにトミー・ブルーをはじめとする一味の仲間が駆けつけ、ジェイミーは命からがら救い出される。モーガンを処刑しようとする大英帝国軍に反旗を翻そうとするが、モーガンが恩赦により刑を免れただけでなく、ジャマイカ総督に任命されたと知り…。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
観た中で「ロビンフッドの冒険」の次の古いカラー映画!
やっぱりこの時代のちょっと原色の濃いカラー好き。
 
衣装、すごい!
船、すごい!
マストが倒れるシーンとか、
船いっぱい使った超大人数の殺陣とか、
撮影は、すごいぞ!
さすがアカデミー撮影賞だわ。
 
でもな。
 
荒くれしかいなくて共感できるキャラいねぇぇぇ!!!!!
 
ジェイミー悪い奴じゃないんだけど、
女のコへの態度、俺は好きじゃないぞ…
 
モーガンも元々は海賊だから仕方ないけど、
あんなのばっかまとめていくの大変すぎるだろ…
 
 
とりあえずテーマも何もない、ひたすらにアクション映画!
ロビンフッドといい、アクション映画は派手なほどいいから、
カラーにし甲斐あったんだろうな。
 
実際、
船底からブルーたちがわさぁぁぁっと出てきて、
前述の大規模な殺陣になっていくシーンは壮観です。
 
 
ただ、
進化した現代の殺陣を見慣れてるせいか、
その間合いとか、剣さばきとか、
 
相手を本気で殺す気皆無だろ!!!!!!!!
 
って見えちゃう。
相手に当たらないようにしてる剣さばきだもんなぁ。
でもジェイミーとリーチの一騎打ちだけは、
わりと本気で当たってもおかしくない感じでやってるからすごい。
 
 
ちなみに、
駅馬車、コンドル、スミス都へ行くに次いでまたもやトーマス・ミッチェル登場。
ホントこの人は存在感あるな。

 



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film0092: GRAND HOTEL (1932)

June 10 2019 00:49

GRAND HOTEL
邦題「グランド・ホテル」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.52
国内映画レビューサイト偏差値:3.47
海外映画レビューサイト偏差値:3.62
だい評点:★★
USA
1932年4月12日公開
監督:エドマンド・グールディング
出演:グレタ・ガルボ、ジョーン・クロフォード etc
製作・配給:MGM
◎アカデミー賞(作品賞)
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
ベルリンのグランドホテルの電話交換室では数多くのオペレーターが休む間もなく電話の取次を行っていた。出産を控えた妻を心配するスタッフ、余命宣告され遺書の処置を悩む会社員、大型合併の協議を明日に控えた工場経営者、プリマ・ドンナのメイド、金を無心する男爵…。様々な人の思いが交錯する。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
グランド・ホテル形式!
今ではいろいろな媒体で当たり前のように使われるグランド・ホテル形式!
ゲーマーにとってもチュンソフトの「街」のザッピングシステムでおなじみのグランド・ホテル形式!
その元祖がこの作品だそうです。歴史が長い。
 
それぞれの選択が少しずつ絡み合うプロットは精緻にして巧妙。
「街」をプレイした人にとっては、
もっとさりげなく一人の選択がレバレッジで他の人にも影響を与えると面白いんだけどもと思っちゃうけど!
「運命じゃない人」とかみたいなね。
でも、現実なんてそう風が吹いただけで桶屋が儲かるものでもないので。
 
映画だからこれくらいわかりやすくてそれはそれでよい!
 
 
でもな。
ガイゲルンあっさり恋に落ちすぎ!!!!!
フレムヒェンも何をそんなにクリンゲラインに惹かれたのかわからん!!!!!
 
チョロさにかけては帝王級の俺でさえ理解できない。
みんな一夜にして性格豹変しすぎてていろいろやばい。
観てるこっちが置いてかれるわ。
 
 
面白くないわけじゃないんだけど、
結局人間としての深いドラマがあるのって、グルシンスカヤだけなんだよな。
あとの人って、わりと単純な「出来事」なんだけど、
グルシンスカヤだけは「解放」の物語。
 
だからこそ、最後のシーンがとてもせつない。
 
 
登場人物の行動が共感できなさすぎて、うーんなトコはあるけど、
それでもグルシンスカヤの物語だけで観る価値は充分にあると思!
 
でも何でグレタ・ガルボって人気あったの?



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film0091: FREAKS (1932)

June 03 2019 23:13

FREAKS
邦題「怪物團」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.76
国内映画レビューサイト偏差値:3.69
海外映画レビューサイト偏差値:3.91
だい評点:★★★
USA
1932年2月12日公開
監督:トッド・ブラウニング
出演:ウォレス・フォード、オルガ・バクラノヴァ etc
製作・配給:MGM
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
「空中の孔雀」との異名を持つ人気美人軽業師クレオパトラを見上げる、同じテトラリニ夫人のサーカス団に所属する小人症のハンス。その様子を彼の婚約者フリーダは苦々しく思い詰問するが、ハンスは愛しているのはフリーダだけと言いながらもクレオパトラに近づいていく。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
いろいろと!
すごい!(語彙)
 
現代では絶対できないやつだよなぁ。
映画っていうか、
そもそもこういう人たちを集めたサーカス自体が絶対できないだろな。
 
そういう意味では、
実際に当時は見世物として活躍していた身体障害者たちをそのままの姿で観れる、
それだけでこの映画の価値って無限でしかないわ。
 
でもさ。
今こういうサーカス団ができないのって、
「障害者を見世物にするなんてジンケンガー!キー!」
っていうぷろふぇっしょなる()な市民の方々の声によるものなわけだけれども、
本人がそれでお金を稼ぐことを選ぶのであれば、
それは身体的にはハンディキャップかもしれないけど、
精神的、生活的にはハンディキャップじゃないんだよな。
 
それを第三者が「人権!人権!ムッフッフ」って言っててもさ、
うーん、それは違うんじゃね?
っていうのを、
この映画に出てくる活き活きとした団員たちから学んでほしいなぁ。
 
おっぱいの大きいおねえちゃんがグラビアとかストリップに出ててもさ、
別に誰も人権がー!とか言わないわけじゃん。
ルチャ・リブレのミゼットレスラーもそうだけどさ、
背が小さい人がそれを見せて金を稼ぐことってさ、
おっぱいが大きいのと何が違うの?って。
 
身体的特徴を見せて金を稼いでることに、
あれはダメ、これはOKって、
それが差別じゃないのかよ!
 
とか何とか。
 
 
クレオパトラの最後の処遇について賛否両論あるのはわかる。
そりゃそうだわな。
でもさ、やり方は別として、
裏切ったやつ、仲間を傷つけたやつは許さない!
そう思うのって、
どんな人だってみんな一緒じゃん?
 
何も変わらないんだよ、みんなね。



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film0090: FOREIGN CORRESPONDENT (1940)

May 31 2019 09:34

FOREIGN CORRESPONDENT
邦題「海外特派員」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.62
国内映画レビューサイト偏差値:3.60
海外映画レビューサイト偏差値:3.67
だい評点:★★★
USA
1940年8月16日公開
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ジョエル・マクレー、ラレイン・デイ etc
製作:ウォルター・ウェンジャー・プロダクション
配給:ユナイテッド・アーティスツ
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
1938年、欧州に戦争勃発の兆しが見え始めた中、NYのある新聞社の社長は、海外特派員から送られてくる情報の薄さに苛立ちを感じていた。そこで、先だって暴力事件を起こし解雇寸前だった警備員のジョーンズの一本気な性格を買い、海外特派員としてロンドンへ赴任させることを決断。思わぬ指令にジョーンズは喜んで引き受けるが…。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
面白い!!
この盛り沢山感はヒッチコックのいつものエンタメだけど、
今回は主人公だけじゃなく、いろんな人死にそう!!
 
主人公ジョニーに迫る命の危機!
盟友フォルスタッフに迫る命の危機!!
平和団体の大物ヴァン・メアに迫る命の危機!!!
 
命の危機しかないのかこの映画は!!!!!!
 
いつも通り、トラブルに巻き込まれる中で芽生えるロマンス!
でもな。
 
今回は命を狙ってくるのがその父親だから、
危険性が共有できなくてもどかしいんじゃぁぁぁぁ!!!!
 
そして最後には、
飛行機墜落パニックものからの海洋漂流サバイバル!!!!!
 
1本にいろんな要素詰め込みすぎじゃぁぁぁぁ!!!!
 
これだからヒッチコックはやめられない。
 
 
最後のパニックムービー部分の映像の迫力がまずやばい。
海面に機首がぶつかる瞬間の、
コックピットの窓から大量の水が溢れ混んでくるのとか、
あれよく撮ったな。役者さん怪我しそう。
 
風車の場面の、歯車にコートの裾が引っ掛かるのとか、
あざといofあざといなんだけど、
あれこそヒッチコックofジョイトイ。
アイディアの宝庫だよなこの人。
 
フォルスタッフが窓から飛び降りるシーンとか、
後の香港映画かよってアクションだし、
ジョニーが浴室の窓からホテルの屋根を逃げるシーンで、
「HOTEL EUROPE」のネオンが落ちて「HOT EUROPE」になるのとか、
天才でしかないじゃん。
 
 
内容だけなら文句なく★4つ、
しかも★5つに近い4つなんだけど、
前半部分のジョニーのふてぶてしい感じが生理的に嫌いすぎて★1つ減点。
でも最後の演説はすき。
 
母国が戦乱に飲み込まれるのを、
海の向こうで暮らすヒッチコックがどう感じていたか。
その意味ですごく心に来るメッセージだと思うのよね。



Categories: 38歳から始めるシネフィルへの道。

film0076: HANGMEN ALSO DIE (1943)

March 23 2019 13:36

HANGMEN ALSO DIE
邦題「死刑執行人もまた死す」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.85
国内映画レビューサイト偏差値:3.95
海外映画レビューサイト偏差値:3.67
だい評点:★★★★★
USA
1943年3月23日公開
監督:フリッツ・ラング
出演:ブライアン・ドンレヴィ、アンナ・リー etc
製作:アーノルド・プレスバーガー・フィルム
配給:ユナイテッド・アーティスツ
◎ヴェネツィア国際映画祭特別賞
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
独軍占領下のプラハでは、反ナチスの地下組織が占領への抵抗を続けていた。そんな中、総督として赴任したハイドリヒはレジスタンスを徹底的に弾圧し「死刑執行人」と恐れられていて、スコダ軍需工場の労働者のストライキにも処刑者を増やすことで対処すると宣言し…。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
これは名作!!!!
メイ・サクサクは謝らない!
 
世界大戦中の1942年にチェコで起こった事件を基に、
世界大戦中の1943年にこれほどの映画を撮るって、
 
すげぇぇぇぇぇぇぇ!!!
 
ドイツからの亡命者であるラングが監督で、
ドイツからの亡命者であるブレヒトが脚本で、
ドイツからの亡命者であるアイスナーが音楽担当で、
いろんな複雑な思いがあるからこそこれほどの映画が撮れたんだろな。
 
いい映画にするには、
監督や脚本の強い思いが必須。
 
 
「自由は菓子や帽子のように粗末にすることはできないのだ」
 
ノヴォトニー教授のこの言葉に全てが詰まっているよね。
現代人には、
少なくとも現代の日本人には気付かない「自由」の価値。
 
自分よりも、
自分の大切な人よりも、
それ以上に重みがある「自由」というもの。
 
父の覚悟、
ドヴォリャクおばさんの覚悟、
それを目にして、
個人個人が犠牲になってでも、民族全員で勝ち取らなければならない「自由」の重み。
それに気付いたマーシャ。
 
 
レジスタンスと一般民衆は決して分かつことができるものではなくて、
意志は同じで、行動が違うだけのものだから、
一般民衆も、何か行動を起こせばそれはレジスタンス。
 
だからこそ、
チャカが民族の誇りを、魂を、そして「自由」を売っている、
その情報はすぐに一般民衆にレジスタンスの情報網を持って拡がり、
全ての一般民衆がチャカを処刑するために、
示し合わせてもいないのに行動を統一した。
 
チャカの執事が、グリューバー警部が来た、と証言したときに、
それを聞いて察した表情の給仕たち。
「自由」への訴求があるから、
「自由」を売り渡す者への怒りがあるから、
示し合わせなんてなくても、ああいうことが、起こる。
 
 
二転三転して、
スリル満載でヒヤヒヤして、
そんな満足の娯楽作だけれど、
底流に強いテーマがあるから、
単なる娯楽作じゃない、心を打つもの、
人物たちの強い決意や覚悟やメッセージ、
たくさんの重みを感じる映画になってんだな。
 
映画って、これだよな。
 
いい映画を観ると、
生きることに対する自信や決意が生まれる。
だからいい映画って、素晴らしいんですよ。



Categories: 38歳から始めるシネフィルへの道。

film0075: MRS.MINIVER (1942)

March 22 2019 16:16

MRS. MINIVER
邦題「ミニヴァー夫人」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.38
国内映画レビューサイト偏差値:3.20
海外映画レビューサイト偏差値:3.73
だい評点:★★★
USA
1942年6月4日公開
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:グリア・ガースン、テレサ・ライト etc
製作・配給:MGM
◎アカデミー作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞、主演女優賞、助演女優賞
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
1939年。ミニヴァー婦人はロンドンでの買い物帰り、バスに乗ったもののやはり思い直してどうしても欲しかった帽子を買うことにした。ベルハムへ帰る列車の中で、知人のピーターや町の名士ベルドン夫人と同席するが、ベルドン夫人は昔ながらの階級主義者で…。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
戦時中の幸せな家庭の気丈な婦人の話と、どっかのあらすじで読んだので、
夫が出征して、女手一つで小さい子供たちを抱えて切り盛りするほのぼのホームドラマだな!
うん、あんまり好きじゃないジャンルだな!
期待しないで観よう!
と思ってたんです。
 
ごめんなさい!!!!
全然違った!!!!(笑
 
 
そもそも夫、出征してねぇし!
(船の徴発を届けに行くシーンはあるけど)
いや、途中まではほのぼのホームドラマなんだけどさ、
最後の衝撃よ!
泣くわあんなん!!!
 
幸せな家庭の、
幸せな町の、
幸せな日常を根こそぎぶっ壊す戦争よ。。
 
どんな戦争映画よりも悲しみに満ちてるわ…。
 
 
結婚したばかりの妻を失ったヴァン。
息子の妻を守れなかったミニヴァー夫人。
最愛の孫娘と、初めてのライバルを同時に失ったベルドン夫人。
 
たった一瞬で、
生きがいが奪われる。
 
 
戦争は理不尽すぎるわ。
それを胸に刺してくれるって意味で、
俺の中では一番の反戦映画だなぁ。
レビューとかでは、反戦じゃないじゃん、戦意高揚じゃん、
って言ってる人もけっこういるけど、
ねぇ、バカなの?
侵略されて虐殺される立場から見たら、
反戦=抵抗して家族を守ろうになるの当たり前じゃん。
殺戮される側にとっては、武力で身を守るしかないんだよ!!
無抵抗主義が通用するのは、侵略の価値がそれほど無い場合だけですよ…
 
 
観てる間ずっと思うけど、キャロルは理想形だよね。
喧嘩ふっかけられても怒らない。
言うべきことはきちんと言うけど、
相手が悪くても自分もきちんと謝る。
いつも陽気で活発。
 
人間できすぎだろ!!!!!!!!!!!!
 
あの婆ちゃんの下でよくこんないい子が育ったな…
あ、でもあの婆ちゃん観る度に、バル超のミス・フロイのイメージが先行するから、違和感ある(笑
やっぱめっちゃいい役者だと思うわ。
 
 
タイトルが地味に好きで、
ミニヴァー夫人。
って、主人公の名前つけるだけの安易なやつだな!
と思ってたら、
 
ミニヴァー夫人、
新しいミニヴァー夫人(キャロル)、
薔薇のミニヴァー夫人、
の3つ全てが主人公ってことなんだな!
 
そしてその3つって、
ベルドン夫人の階級意識を打ち破った3つなんですよ。
旧来の社会から、
新しい社会への象徴。
 
薔薇にミニヴァー夫人って名前つけること考えた脚本家、天才では?



Categories: 38歳から始めるシネフィルへの道。

film0074: SABOTEUR (1942)

March 22 2019 10:05

SABOTEUR
邦題「逃走迷路」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.40
国内映画レビューサイト偏差値:3.35
海外映画レビューサイト偏差値:3.50
だい評点:★★★
USA
1942年4月22日公開
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ロバート・カミングス、プリシラ・レイン etc
製作:フランク・ロイド・プロダクション、ユニバーサル・ピクチャーズ
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
カリフォルニアの航空機工場で、食事休憩のため労働者が一斉に移動していた。バリー・ケインは親友のメイソンと歩いている最中、名も知らない男とぶつかってしまう。男が落とした手紙にはフランク・フライという名前が書いてあり、さらに拾い忘れたものを彼のもとへ届けるが、そのうちに工場で火災が発生し…。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
めまぐるしく移り変わる場面!
追ってくる警察と刺客!
少しずつ芽生える信頼と愛!
この3行だけで誰もがヒッチコックって答えるわ。
 
序盤はとにかく警察から逃げる逃げる。
ヒッチ作品の中でも、ここまでド派手に逃げるのは初めて見たかも。
トラックに同乗!
馬を奪う!
護送中に脱走して川へ飛び込む!
サーカスの車に潜入!
 
車のタイミングベルト?みたいなので手錠切るシーン、
あれはヒッチ天才じゃね?って思うマジで。
 
逃走を助けてくれる人たちが個性的なのもイイ。
トラックの運ちゃん、
パットの盲目の叔父さん、
サーカスの人たち。
特に叔父さんのキャラ立ちやべぇ。
あのキャラでロッキングチェア・ディテクティブもののミステリやってほしいまである。
バロネス・オルツィの隅の老人感あるよな。
 
 
テロ集団との一進一退の中盤を経て、
囚われのパットがメモを窓から落として救出されてからの~。
 
終盤のラストスパートやばすぎ!!!!!(笑
 
進水式でのテロ阻止格闘劇、
映画館での、映画のシーンに合わせた一般人誤射、
そして有名な自由の女神での追いかけっこ!!!!
 
最後の10分ちょいの間にぎゅうぎゅうに詰めてきやがったな!!!!
 
 
何も考えないで見る娯楽作としては最高クラスだと思うわ。
惜しむらくは、バリーに悲壮感がないのと、
パットのキャラが立ってなさすぎて、
見た後に印象がほとんど残ってないことだな。
看板広告の顔、ってわりに、
誰一人に気付かれてないのはいったい…
 
 
あと、フライが自由の女神から落ちてくシーンのリアリティの無さがひどすぎて、あれは永遠にパロディにしていいやつ(笑



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film0073: HOW GREEN WAS MY VALLEY (1941)

March 21 2019 18:14

HOW GREEN WAS MY VALLEY
邦題「わが谷は緑なりき」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.82
国内映画レビューサイト偏差値:3.84
海外映画レビューサイト偏差値:3.79
だい評点:★USA
1941年10月28日公開
監督:ジョン・フォード
出演:ロディ・マクドウォール、ウォルター・ピジョン etc
製作・配給:20thセンチュリーFOX
◎アカデミー賞:作品賞、監督賞、撮影賞、美術賞、助演男優賞
◎NY映画評論家サークル賞:監督賞
◎アルゼンチン映画評論家連盟賞:外国映画賞
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
英国ウェールズ地方にあるロンダの谷。ここで生まれ育ったヒュー・モーガンだったが、50歳になり遂に谷を出て行くことに決め、若い頃のことを思い出していた。昔の谷は炭鉱町として栄えており、炭鉱夫として働く父や兄たちが真っ黒になって帰ってくるのを、優しく母や姉が迎える。それが当たり前の日常だった…。
 
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
炭鉱町!といえば!
夕張!赤平!歌志内!
 
俺が子供の頃には!
すでに石炭産業は斜陽どころか息の根が止まる寸前だったので!
 
小学校低学年の頃には、
「えっ、まだ炭鉱ってやってるとこあるの??」
って感じだったし、
生きている炭鉱町ってもの自体が記憶にないので!
 
そのへんの感覚の差ってどうしてもあると思うわ。。
 
 
ヤフレビでまさにクリティカルなことを書いてる人がいて、
これって、炭鉱町が生きていた時代の人にはわかるノスタルジィなんだろなぁ。
栄えに栄えていた町が、ひっそりと死んでいく様。
 
何かの産業の町が、
何かの産業の終焉で誰もが去って行く。
 
それをほとんど経験していない俺らには、
1つの町の1つの産業だけで、
家族も、近所も、
当たり前のように同じ暮らしをする。
っていう感覚に、
懐かしさもノスタルジィも何も抱けないんだよなぁ。
 
 
たぶん現代の価値観で見れば、
学校を主席で卒業して炭鉱夫になんなよ!!!!
とか、
仕事無いならとりあえず他で何か探せよ!!!!
とか、
やっぱ思っちゃうよね。
 
 
もちろん今のような簡単に遠隔地と連絡が取れる時代じゃないから、
例えば兄たちが家を出て行ったりとか、
そういうのが一大事だったのは、わかる。
 
でもでもさ、
だからこそ、現代人にはこの価値観は、
自分の心の風景として同位感を持てないと思うし、
そう考えると、
社会も、家族も、在り方って100年で驚異的に変わってんだなって。
 
 
そういうことは、
学べる映画。
 
 
ただたぶんノスタルジィに特化した映画だから、
ノスタルジィを持てない者には何も残らないんだよな。
それ以外の哲学があるわけでもない。
ただヒューの想い出だけを淡々と振り返る。
うーん、物足りなさは、あるな。
 
 
でも、
ボクシングを教えたのにあの謎のフォーム。
教えた奴、カンフーの使い手だろ!!!!



Categories: 38歳から始めるシネフィルへの道。

film0071: THE MALTESE FALCON (1941)

March 20 2019 09:50

THE MALTESE FALCON
邦題「マルタの鷹」
 
映画レビューサイト総合偏差値:3.48
国内映画レビューサイト偏差値:3.24
海外映画レビューサイト偏差値:3.96
だい評点:★★★
USA
1941年10月3日公開
監督:ジョン・ヒューストン
出演:ハンフリー・ボガート、メアリー・アスター etc
製作・配給:ワーナー・ブラザーズ
 
【本編の内容が限りなく少ないあらすじ】
サンフランシスコにあるスペード・アンド・アーチャー探偵事務所に、サースビーという男と駆け落ちした妹を探しているという婦人が依頼に来た。妹とは連絡が取れない中だが、今夜サースビーと会う手はずになっているので、その際に妹を連れ戻したいというのだ。
 
【だいレビュー(ネタバレ有)】
もともとミステリ小説好きのワタクシなので、
マルタの鷹、と聞けば、
ダシール・ハメット!
サム・スペード!!
と言えるくらいの知識はあります。
 
でもね、
主な守備範囲が古典ミステリと黄金期の本格ミステリで、
ハードボイルドはどちらかというと苦手なジャンルなので、
原作を全く読んではいないんですよねぇ。
 
ハードボイルド好きとヴァン・ダイン好きは正反対の立ち位置だと思ってる派。
 
 
というわけで、
それほど期待しないで観た。
途中飽きたらしょうがないやくらいの勢いで観た。
 
 
おい、面白いやんけ!!!!!!!!!!!
 
 
いやもちろんやっぱりハードボイルドの何が何って、
暴力的で向こう見ずでリスク管理できてないとこは嫌いです。
単身敵のボスのとこに乗り込んでって、
出された酒に手をつけるなよな…。
 
あと、
いきなりキスしてんじゃねぇよ!!!!!!
 
とかいろいろ突っ込むとこはある。
ある。
あるんだけどな。
 
この作品の凄いところの最大のポイントゥーは、
 
ジョエル・カイロうさんくせぇぇぇぇぇ!!!!!!
 
だと思うんだよなあ。
あんなにうさんくさい人、いる?
最初から最後までうさんくさいやん!
観た後の印象、全部ジョエル・カイロに持ってかれるわ!
 
くっそうさんくさい役者っているもんなんだなあ、
と思って調べたら、
 
 
お前、「M」の犯人だったピーター・ローレじゃねぇか!!!!!
 
 
髪型変わってて気が付かなかったけど、
言われてみればたしかにそうだわ。
 
ただでさえ、金につられてあっちがこっちを裏切ったり、
こっちがあっちを裏切ったりっていうストーリーの中で、
寝返るのがいちばんしっくり来る雰囲気ーー!!!!!!
 
めまぐるしく変わる状況の中で、
カイロだけは全く信頼できない感じが二転三転に花を添えている。
すげぇ。
 
 
っていうか、
地味にボギー初見なんですぅ。
 
ボぉギィ~、ボぉギィぃぃ~、あんたの時代はぁよかったぁぁ♪
 
のボギーです。
名前はもちろん知ってる。
 
もうちょっとクールハンサムな感じを想像してたけど、
いかめしい顔のおっさんだった。
この頃のムゥビィスタァって、
基本おっさんかおっさん顔かだよね。
イケメンじゃなくてもモテる余地が残されていた。
 
いい時代だな…(とおいめ



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