第一人者。

January 20 2006 22:35

なんだかんだ言って、さっそく1冊読んでしまったわけでありますが(萎)
そんなわけで書評など。
 
「もてない男」(小谷野敦・著 / ちくま新書)
まぁ、数万冊もある本の中からこの本を選び出した俺も俺なんだが。まぁ察してくれ。
そんなわけで、なんかこの本の内容、ちょこちょこ触れたことある気がするなぁ、と思ったら、
いつぞや書評した「肉体不平等」(平凡社新書)で大量に引用されてた気がするのだ。肯定的にだったか否定的にだったかは忘れたが。
本棚に何故か「肉体不平等」が見当たらないので確認しようがない。誰かに貸してたかなぁ。心あたりのある方は御連絡を。
たぶん神隠しにあっただけな気がするので、また買うか…
それにしても俺は、先月末から「モテない学」の大家になりつつあるな(汗)
 
というわけで本題。
前半はまぁとにかく、モテない男のコンプレックスや開き直りを赤裸々に綴った、およそ新書には相応しくない内容である。
なんせ、第1章が童貞論で、第2章が自慰論である。
それを自分の体験記なども交えて書いているのだから、余程強者というしかない。
っていうか、こんな下品な本読んだことねぇ(笑)
このあたりまではどうもトンデモ本というか、ガロあたりの雰囲気を色濃く感じるようなサブカル的要素抜群なわけだが、第3章の恋愛論あたりからはこれが一変。
コミュニケーション論から、孤独論、妾という存在の歴史的展開から男女のあり方を科学したり、フェミニズムを語ってみたりと、正方向の哲学的論調まっしぐら!である。
そんなわけで、後半に行くほど唸らされる内容も多くなり、飽きずに一気に読み切れた。
 
というのも、この著者、論調が軽いというか、適度に羽目を外していて、非常に楽しく読める。
例えば椎名さんの文章なんかは、ちょっと外れすぎていて俺は好きじゃないんだが、
これくらいうま~くあっちとこっちを行ったり来たりしながら、主張するトコはしてくれると読むほうとしてもまっこと有難いのである。
 
そして、こと「モテない」という点において、著者の言に共感できるのもまた、良いのである(笑)
っつーか、背表紙の著者近影を見ると、まぁそれなりの顔立ちをしていて、こんな人が、容貌がどうの、俺はモテないからどうの、なんて書いてると、
じゃあ俺は何だ。絶望の淵か。と、
ちょうど風呂でこの本を読んでいた俺はそのまま入水自殺してしまいたい欲求にかられたもんだが、まぁとりあえずまだ生きとる。
 
まぁそんなこんなで、わりと哲学的な部分というか、美意識的な部分が俺と近い感じだったので、自分のことを顧みるにも良かったかな、と(特に、上野千鶴子のような優越的女権論者に対する100%否定的な見解も俺と同じ立ち位置だ)。
そこで考えたことがいくつかあるので、おいおいエッセイ的な感じでここに書いていこうかとは思う。
で、最後に、俺がこれ!と思った部分をいくつか引用して締めとしよう。
 

断っておくが、私はここで「愛を告白する勇気がない」とかいうチンケな輩は問題にしていない。

(82頁。よくぞ言った。)
 

女の人はどうか知らないが、男としては、自分に恋する女というのは、やはりそれなりに可愛いものである。
ただ、その中で「結婚してもいい」というのはなかなかいなくて、
「デートとかセックスくらいならしてもいい」というのがいて、
「手紙や電話はいいけれど、連れて歩くのはちょっと…」というのがいる。
この点、どうも女性のほうが自分に恋する男に冷たいように思うが、それはそうだろう。いきなり襲われるかもしれないんだから。
 きっとここで「アッシー君」とか「ミツグ君」の話へと展開するのが常道なのだろうが、私にはそういう連中の心理はよくわからない。
その卑屈さがわからないのでなくて、そういうことをさせて喜んでいる女なんぞ好きになる心理がわからない。
わからないことは書かない。

(88頁。染みます。)


Categories: カルチャーの嵐。

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