柔の道も。
河合克敏「帯をギュっとね!」全30巻いまさらながら読破。
サンデーの看板漫画家の一人らしいけど、
なんせサンデー系は俺の苦手な感じのが多いんでノーマークでした。
サンデーって、子供っぽいのかオタっぽいのかばっかだけど、
帯ギュは、その両方のテイストを漂わせつつも、
ちゃんとしたスポーツ漫画として成り立たせているのが好感。
その原因を探るに、作者が柔道経験者らしいことも大きいのではないかと思う。
序盤の巧と保奈美、さらに石塚や平八郎が絡むストーリーや、桜子の保奈美と対照的なキャラ付けを見ても、
柔道ってのを題材に、ラブストーリーを描くという、ありがちで陳腐な方向性を最初は指向していたとも思われる節があるものの、
最終的には、試合の描写に力を入れるあまり、巧と藤田のライバル関係を中心とした、浜名湖柔道部のサクセスストーリーに変化していったようだ。
それは、藤田以外にも、鳶島(弟)や玉城といった「全くラブストーリーの絡まないライバル」の存在が大きくなっていったことからも見て取れる。
事実、ラブストーリー的な要素を脱却して以来、斉藤や宮崎、真理といったキャラクターの活躍の場が増えたこともその証左になるのではないかとも思う。
これは、終盤の欄外で「ヴァン・デ・ヴァル投げも出さなくなったし~」っていう下りで作者自身が回顧しているように、やはり作品そのものに対するスタンスが「柔道としてのリアリティ」を重視するスタンスへと変化していったことを作者自身も理解していて、それに伴ってのメインキャラ構成の変化であったろう。
その意味では、序盤でラブストーリー用キャラとして個性付けされた平八郎、石塚、袴田姉弟などは、10巻を過ぎたあたりから圧倒的にその存在感を無くし、序盤キャラの中では唯一、全く恋愛沙汰の絡みようのない(笑)永田だけが最後まで個性を放ち続けたのも皮肉と言えば皮肉な話だろう。
本人がこの熱血側に偏った変容を否としたのか、はたまた編集サイドからの要望があったかは知らないが、終盤になって急に思い出したようにラブストーリー的な要素を絡ませ始めるが、その結果として「内気で友達の作れない」別所さんや、「クールで飄々とした」斉藤など、せっかく中盤からキャラ立ちしていた二人をみすみす没個性にさせてしまったのは残念でならない。
もっとも、主人公でありながら保奈美との関係以外は完全に没個性だった巧が生き返り、柔道路線の中で冷遇されていた杉がエピローグで輝きを放つという効果はあったので、作者の試みが成功している部分もあるのだろうが。
それにしてもやはりあだち充を筆頭とした、爽やかスポーツラブストーリー路線、っていうやはりサンデー体質が見て取れ、全体としてライトな読み心地で読み込めたのは事実。
雰囲気としては、ゆうきまさみのお手軽さにも近いか。
塀内先生の感動路線や、水島新司のアクの強さに慣れきった俺には、少々物足りなさの残った感はあるが、感情移入するでなく、フワーっと読むにはいいのかもしれぬ。
ただ、こういう漫画は、自分で金出して買う気はしないが。
島本先生がサンデーからフェードアウトした理由もわかるってもんだ(笑)