七大陸周遊記~第1章~ (1)サンセット浴びる黄金道路。
(この文章は、2003年8月の日記を2015年4月2日に改題・改編・加筆したものです)
【2002年9月2日】
それまでは主に日帰り圏内に終始していた遠征圏を、
ついに拡大することを目指して道東へ向かうこととする。
もともと俺にとっては道東というのは特別な地であって。
何度も書いているとは思うが、
Dがもともと道内好き好きっ子になったのは、
子供の頃にプレーしたアドベンチャーゲーム「オホーツクに消ゆ」にドハマリしたからに他ならない。
ファミコン版と、リメイク98版合わせてたぶん100回はクリアした。
だから、
作中に出てきたシーンのことは今でもグラフィック付で頭の中に焼き付いている。
北浜、摩周湖、ウトロ、和琴温泉、トドワラ…
10歳やそこらでやったゲームの地に、
24歳になっても思いが消えないというのは、
つくづく執念深い男なのだな。
そんなわけで、
どこかへ行くとしたら、
まずは、
道東だ!
そうなるのは、
まあそれは自然なことなのだ。
というわけで。
地図を片手に、
青年は街を出るのだ。
浜省は、
「Road Mapも、書き込まれた予定表も破り捨てて俺と生きてみないか」
などと歌っているが、
残念ながら俺の生命線はロードマップである。
愛用の、150ページくらいある北海道道路地図。
伊能忠敬からわずか200年やそこらで、人類たるものはずいぶんと奥まで分け入ったものだ。
というわけで。
初日は襟裳岬を経由して帯広を目指す。
千歳を抜け、苫小牧からさあ日高路へ。
鵡川を抜けるとそこには…おおっ、海!
札幌っ子にとっては、海というのは特別な思いのあるものだ。
俺は前田育ちなので、札幌っ子の中でもまだ海に近いほうではあるけど、とはいえそれでも、年に何回も海を見る機会ってのもあるわけではなくて、海水浴やキャンプ、もしくは車でちょっと遠出、といった機会にしか海ってもんを目にすることはないから、
「お出かけの日」
のワクワク感を惹起させてくれる、ってぇもんである。
左手に山、右手に海。
日常生活では目にすることのないそんな道が延々と続く。
「おぉぉぉぉぉ!門別競馬場だ!!!!」
「ぐぉぉぉぉぉ!静内だぁぁ!!!!!」
5年ほど前まで競馬ヲタクだった俺の心を奮わせる景色が時折飛び込んできて飽きることがない。
そんな道をひたすらに、ただひたすらに、襟裳を目指す。
そして。
3時頃。
ずっと左手にあった山々が無くなり、
札幌よりも少し早くススキが生い茂る丘を走ること約15分。
「あの駐車場は!」
ついに襟裳着~~~~~~~~!!!!
少し時期を外れたからなのか、
それとも時間が少し遅いからなのか、
駐車場に停まっている車はたった4台。
売店も申し訳程度に1つ開いてるだけ。
そしてそんな駐車場にはかの森進一の「襟裳岬」が大音量で流れているというシュールな光景!
襟裳の春は、何もない春です。
大丈夫!秋も何もない模様!!!!!!
何ていうか、
積丹岬や神威岬と比べて、
華の無さというか、
この寂しい感じ、何なの!
そんな寂しい道を5分ほどテクテク歩き、ついに岬の突端へ。
うん、突端もやはり寂しい。
なんだか植生が硬い感じで寂しく見えるのかなぁ。
せっかくなので、
凛々しい(誤)男性を激写。
しかし時間も時間なので、こんな何もない所に長居は無用(暴論)。
襟裳岬を早々に出立し、
黄金道路を通って帯広へ。
詳しい話は知らないが、この道路を開削するのがめっちゃ大変で、
多くの人命と莫大な費用を費やして作られたから黄金道路と呼ばれてるとか何とか。
何かの本でそんな感じで読んだ。
左手はずっと急峻な崖みたくなってて、
なんつーかあれだな、漢中から蜀に入る時の蜀の桟道みたいなもんだな。
と、蜀漢政治史専攻のワタシは思うのであった。
学生の本分を忘れない偉さたるや!
そんなくねくねで覆道続きの狭い道で、あまりに遅いタンクローリーに引っかかり、ずっとノロノロ運転。
このままじゃ宿に到着でけん!!!!!
気は焦るものの、くねくねし続ける道はひたすら追い越し禁止だから抜くに抜けん。後ろの車ももう10分くらいイライラしてる感じだなー。
やがてある下りの山道で。
「ん!くねくねしてて追い越し禁止だけど、下りだから加速きくし、もしかしたらここで抜けるかな?」
と思った刹那、ずっとイライラしていた後ろの車が、
だい車のスリップストリームから車体を右へ持ち出し急加速、だい車とタンクローリーを一気に抜き去っていく!
こ、この抜き方は、往年のアイルトン・セナ(ゲルハルト・ベルガーも可)!!こやつ…できるっ!
よほどじれていたのか、タンクローリーを抜いた後もスピードを緩めることなく視界から消えていく一台の車。
悔しいが、俺の愛車ムーくんではこのタンクローリーを一気に抜かしきるだけの加速力がないっ…!
以前に、前の車を抜かそうとして抜かし切れずに対向車とトラブルになったことのある身として、泣く泣くここは自重。
仕方ない…長い直線が出てくるまでは、と思いながらくねくねの左カーブを曲がった瞬間だった!
さっきの車が脇道でパトカーに捕まってた…
危ない…ついて行ってたら俺が捕まるところだった…
そんなこんなでタンクローリーを追い越せる道に出るまでそうとうかかってしまい、大樹でトイレに寄った頃にはもう辺りは真っ暗。
くそー!少しだけでも何処か観光したかったのにー!
と思いつつひたすら帯広を目指し、20時過ぎ、ついに帯広到着。
こ、これが帯広かーーー!
っていう感動を味わいたかったけど、夜だし特に帯広らしい何かはなく。
いそいそと今夜の宿「みどりヶ丘温泉サウナビジネスホテル」に投宿。
温泉といえば聞こえがいいが、
なんていうか、
サウナ付の共用浴場がある、というだけだ。
そして壁が薄い。
隣室のTVの音もまる聞こえだ。
こういう所では、やることをやる時にも、声を押し殺させなければならない(何の話)
まぁ、ただ、部屋のしょぼいユニットバスのシャワーで済ませるよかは、
大規模でなくても、きちんとした浴場があるというのは、
旅の疲れを癒し、明日の体力を蓄えるという意味では大事なことだ。
明日はいよいよ、「オホーツクに消ゆ」の舞台へ。
ドッキドキするね!

[この日の運転距離:約380km]